大人ADHD 月子の生き方

アラフォーにして、突如『大人のADHD』と診断された月子。 迎えた転機に人生を見つめ直し、新たな生き方を模索すべく日々奮闘中!

『コンサータ』と『ストラテラ』の違い ~ADHDの治療薬を切り替えました!~

2017/06/03:内容更新しました


今回からはしばらく、薬の服用についての記事を書いていく予定です。

というのも、『発達障害の診断を受ける必要性とは?』というシリーズを書いている間にもADHDの治療薬の服用は続いていまして、色々と試しながらどんどん先に進んでいたのですよ。

その内容はブログには書かずメモを残していましたので、ここから一気に放出していこうかと思っている次第です。

服用に関してリアルタイムな記事ではないところが残念ではありますが、現在の状態にまでできるだけ早く追いつかせたいと思っています。

 

ADHDの薬物療法

2015年の現時点において、大人のADHDの代表的な治療薬には『メチルフェニデート塩酸塩(コンサータ)』『アトモキセチン塩酸塩(ストラテラ)』があります。

どちらの薬もともに薬効が保たれている間は、ADHDの主な症状である「不注意」「多動性」「衝動性」の改善が期待できます。

基本的には2つの薬の併用はせず、それぞれの薬の効果と副作用とを確認するため、どちらかの薬を単体にて使用していきます。(但し、併用しての服用も一応可能)


薬物療法の有効性として、ADHDの症状を軽減させる点だけではなく、併存障害(うつ病や強迫性障害等)を発症するリスクを軽減させることが可能となっています。

考え方によっては、ADHDだと診断が出た時点で薬による治療を開始し、症状の改善はもちろんのこと、併存障害の予防も兼ねた服用の仕方もあるかと思います。


ADHDの治療方法としては薬による治療が全てではありませんが、脳の機能障害により自身のコントロールが難しいとされるADHDの人たちにとって、最も効果の高いといわれている薬を使わずに、教育や訓練だけで抑制力をつけろということは無理難題を押しつけているに等しいことなのです。

まずは薬を服用し、脳を自己抑制できる状態に保った上で環境調整法や行動認知療法などを活用していくことが、ADHDの人には効果的な対応法だといえるでしょう。


ただし、ADHDの治療薬はADHD改善の為の万能薬でも魔法の薬でもありません。
“改善のための後押しをしてくれる”ぐらいのものと考えた方がいいかと思われます。

ADHDの治療の順序としては、まず治療のベースとなる薬物療法を取り入れてADHDの症状を抑えることで、セルフコントロール力を高めます。

その後、自分の苦手な部分をカバーするための対策を考えたり、人とのコミュニケーションの取り方等、社会適応に必要なスキルを身につけるなどして、問題を解消していけるように取り組みます。

こうして、ストレスを減らしながら適切な状況判断と対応の仕方を学ぶことにより、少しずつ問題行動を減らすことができ、社会に適応できるようになっていくのです。

 

 

『コンサータ』『ストラテラ』の違いって?

私自身、『コンサータ』『ストラテラ』の違いがイマイチよく分かっていなかったので、今回の記事を機に調べるとともに主治医にも伺ってみました。

 

それぞれの薬の種類

まず大きな違いについては、以下の通りです。

  • コンサータ…中枢神経刺激薬
  • ストラテラ…非中枢神経刺激薬

ADHDの人は神経伝達物質であるドーパミン等の働きに問題があるとされています。
この、ドーパミンとは『運動調節・学習・意欲・快楽』を司っています。

ADHDの人の場合、神経細胞から放出されたドーパミン等が過剰に「再取り込み」をされることで、神経伝達に支障が出ていると考えられています。


◆コンサータ

脳の神経に直接作用して神経細胞にある再取り込み口(トランスポーター)の働きを抑制し、ドーパミン等の再取り込みをダイレクトに防ぎます。

また、神経に直接働きかけるため、効果が出るのも早いという利点があります。

ただし、中枢神経刺激作用があるため用量用法を間違えると依存性を生じるリスクがあり、日本では認定を受けた医師にしか処方ができないようになっています。


◆ストラテラ

脳の神経には直接作用せずに伝達物質であるノルアドレナリン「再取り込み」を行うトランスポーターの働きを邪魔します。
ノルアドレナリントランスポータードーパミン再取り込みも同時に行っているため、結果としてドーパミンの量も増えることになります。

即効性はなく、服用を開始してから効き目が現れるまでに約2週間かかり、安定した効果が得られるまでには6~8週間程度必要となります。

こちらはコンサータと違い一般薬扱いなので、どの医師でも処方が可能です。

 

薬が脳に作用する範囲の違い

それぞれの薬が働きかける脳内範囲にも違いがあります。

  • コンサータ前頭前野、線条体、側坐核のドーパミンを増やす
  • ストラテラ前頭前野のノルアドレナリンとドーパミンの量を増やす


◆前頭前野

脳の司令塔であり、情報の認知、状況や場面に応じた反応や判断、行動を適切に行うための機能『実行機能』を司っています。

ADHDの人は、前頭前野の血流量が通常の人よりも少なく、その働きが弱いのではないかと考えられています。
そのため、集中力の維持、感情の抑制、行動の計画、思慮深さ、ワーキングメモリー(作業記憶)などに障害がみられます。


◆線条体

体のバランスや動きをコントロールする働きと、『手続きの記憶』を司る部分で、ピアノの弾き方、自転車の乗り方、コップの持ち方といった「無意識かつ自動的かつ正確」「繰り返しの訓練で身に付く」という特徴があります。

また、報酬系(報酬を喜ぶ感情)にも関わっていますが、ADHDの人は報酬への感受性が定型発達者と異なると言われています。

ある研究によると、ADHDの人は報酬を待っている間の脳活動が低く、報酬を与えた時点では高くなるという定型発達者と逆の反応を示します。
これは、待つことにより大きな報酬を得られる機会があっても、すぐに得られるのならば目先の小さい報酬を選んでしまうということを示しています。(遅延報酬の障害)

イソップ寓話の『アリとキリギリス』の話で例えると、ADHDの人はかなりキリギリス寄りな行動をしてしまうのかもしれません。


◆側坐核

痛み信号が脳に届くと鎮痛物質を働かせる命令を出すと考えられています。
この働きにより、脳は必要以上の痛みを感じないようなしくみとなっています。

また「やる気」「頑張り」を司っており、ここが活動して脳内物質を分泌することにより、やる気が出るようになるのです。(俗に言う『やる気スイッチ』

脳の側坐核「行動を起こすこと」で活発に働き出し、やる気が出てきます。
これを「作業興奮」と言います。
実際に行動することで、脳に刺激が与えられ側坐核がより活発に働きます。
そして、一度やる気がでるとやる気はどんどん出てくるようになります。

ADHDの人は、側坐核の動機づけ経路の神経伝達物質障害があると考えられており、やる気レベルの維持の困難や、そもそも何かを達成するための『動機づけ』には極めて大きな報酬が必要であったりするのです。

 

2つの薬の作用の違いとは?

ストラテラ40mg シート

前述の通りコンサータストラテラでは作用の内容や範囲が異なるため、同じADHDの治療薬といっても当然効き目が変わってきます。


◆コンサータ

  • 1つのことに集中するための集中力がUPする(注意散漫・不注意の改善)
  • やる気や意欲など『動機』の後押しをしてくれる(先延ばし体質の改善)
  • 気持ちの切り替えをスムーズにしてくれる(注意力・スイッチ力のUP)
  • 車に例えると『馬力』がUPするようなイメージ


◆ストラテラ

  • 幾つかの作業を同時にできるようになる(ワーキングメモリーの改善)
  • 行っている作業の優先順位を付けられるようになる(段取り・整理能力のUP)
  • 視野が広くなり、周囲に気を配ることができる(不注意の改善)
  • 車に例えると『性能』がUPするようなイメージ


何点か挙げてみましたが、共通して改善されると思われる部分は『集中力のUP』『行動、思考の多動性の改善』『衝動性の改善』『日中の眠け改善』などです。

ただし、それぞれの薬の効き目に関しては個人差があるため、上記と同じような効果が見込めるかどうかは、服用された方や用量によって変わってきます。
ですので、あくまで目安として考えていただければと思います。

 

 

『ストラテラ』から『コンサータ』への切り替え

これまで私自身、ADHDの治療薬として『ストラテラ』の方を服用していました。

その内容については、以下のカテゴリー内にまとめています。

www.adhd-tsukiko.com

服用し始めてから5ヶ月が経ったところで、主治医からこう告げられました。

ストラテラを増量して服用量MAXの120mgを飲んでいますが、やはりやる気や動機づけの部分に変化はないみたいですね。」


…そうなんですよ!

服用量を120mgに増やしてから1ヶ月半が経過しましたが、相変わらず効き目が現れている部分は主に『集中力UP』『衝動性の改善』といった感じです。

 

ストラテラ服用で得られた効果とは?

詳しくは、下記の通りです。

  • 集中力のUP ← 頭の多動(思考の多動)が収まり、1つのことに集中できるようになった、多動性の改善、注意散漫の改善
  • 衝動性の改善 ← 人の話を最後まで聞いてから話しを始めることができるようになった、ワーキングメモリーの改善も多少みられる
  • 飽きっぽさの改善 ← 作業に飽きてしまったり途中で眠くなることがなくなった、完遂力のUP、不注意の改善
  • 視野が広くなる ← 物にぶつかったり物を落としたりということがかなり減った、周囲に気を配ることができるようになった、自己コントロール力のUP

定型発達者と全て同じようにできるようになったかというと、そのレベルまでには達していないと思うのですが、こうして改善点を挙げてみるとストラテラの服用によりかなり色々な部分の改善がなされています。

ただ、服用量80mgから120mgに増量はしましたが、それ程大きな変化は感じられなかったというのが正直な感想です。

 

薬の効果を得たいADHDの症状とは?

我が家において一番問題となっているのは、家庭内において私自身が

『何でも面倒だと感じ、やらなければいけないことをやらないこと』

この部分なのですね。


家族・家庭を持つということは、“自分のことだけやればいい”では済まされません。

特に我が家では娘がまだ小さいので、夫婦で協力して子育てや家庭を回さなければいけないのです。
当たり前のことですが、私はそれができずに夫に大きな負担をかけています。

主治医もそのことを把握しているので、敢えて私の一番の問題点『先延ばし体質・やる気や意欲の低さ』について今回言及されたのです。


そういう経緯から、やる気や意欲の部分に対して効果が見込める『コンサータ』への切り替えの提案をいただきました。

ここは私も『コンサータ』への期待を込めまして『ストラテラ』からの切り替えを同じく希望したのでした。

 

ADHDの治療薬の選び方について

一言でADHDを持っているといっても、その特性・症状の出方は百人百様です。

ADHDの治療薬は2種類ありますので、“自分が一番困っている部分はどの症状によるものか、そしてそれをどう抑えたいか”に合わせて薬を選択する方法もあるでしょうし、“より症状が多く抑えられる方”といった選び方で服用を決める方法もあるかと思います。

また、“体質や生活スタイルに合わせやすい方”“副作用がより少ない方”といった選択肢も考えられます。

治療薬に関しては、主治医とよく相談をした上で選んでいただければと思います。


※今回の記事を書くにあたり、下記の書籍を参考にいたしました。
(私がいつもイチ推しでオススメしている、大人のADHDの本です!)

 

 

最後に

今回の記事では、私自身がストラテラからコンサータに切り替えたことをきっかけに、ADHDの治療薬とその2つの薬の違いについて調べてみました。

ネットや書籍とにらめっこしつつ形になるようにまとめましたが、私が一人で調べた内容ですので、偏った情報だったり間違っている箇所があるかと思います。

その点につきましては、あらかじめご容赦願いますm(_ _)m


次回は、コンサータの詳細と飲み始めの感想等について書きたいと思います。


↓ こちらが次の記事です。

www.adhd-tsukiko.com

↓ ストラテラ、“その効果は切れることでわかった!”と熱く語った記事(笑)

www.adhd-tsukiko.com

コンサータについての関連記事はこちら。

www.adhd-tsukiko.com


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